令和6年度 1級土木施工管理技士 二次検定 解答試案(九州建設専門学院)
一級土木については、一次試験も難しいですが、二次も結構難しいです。
更にその中でも経験記述でつまずく方も多いのではないでしょうか?
経験記述は「施工管理」「工程管理」「品質管理」「安全管理」「環境対策」の5項目から出題されますが、
過去10年以上「品質管理」か「安全管理」しか出ていません。
令和6年度は「安全管理」となっています。
令和6年度 | 安全管理 |
令和5年度 | 品質管理 |
令和4年度 | 安全管理 |
令和3年度 | 安全管理 |
令和2年度 | 品質管理 |
令和1年度 | 品質管理 |
平成30年度 | 品質管理 |
平成29年度 | 安全管理 |
平成28年度 | 安全管理 |
平成27年度 | 品質管理 |
平成26年度 | 安全管理 |
平成25年度 | 品質管理 |
建設業の人材難対策で受験資格の緩和や、一次合格者が「技士補」になるなど、取り巻く環境は受験者に有利なものとなってきています。
そのような状況から、この2項目の出題が続くものと予想されます。
時間の無い監督さんにとっては、まずはこの2項目を押さえていきましょう。
ここにある解答例を、自身の現場の参考として頂ければさいわいです。
品質管理 3例
街築工事 暑中コンクリートの品質管理
【設問1】あなたが経験した土木工事の内容 | ||
(1)工事名 | 工事名 | 市道〇〇号線擁壁工事 |
(2)工事の内容 | ①発注者名 | 〇〇県〇〇部〇〇課 |
②工事場所 | 〇〇県〇〇市〇〇地内 | |
③工期 | 令和〇年〇月〇日~令和〇年〇月〇日 | |
④主な工種 | 擁壁工 | |
⑤施工量 | 鉄筋コンクリート100m3 | |
(3)工事現場における施工管理上のあたなの立場 | 立場 | 現場責任者 |
【設問2】 | ||
(1)具体的な現場状況と特に留意した技術的課題 | ||
この工事は、市道〇号線道路整備にともなう歩道部 の擁壁工事である。 基礎部のコンクリート打設は7月の第4週に行われた が、昨年の同時期の気温を調べると最高で30℃を超 えていた。 よって、夏季に施工するコンクリートの品質を確保 することを課題とした。 | 7行 | |
(2)技術的課題を解決するために検討した項目と検討理由及び検討内容 | ||
猛暑が予想される環境において、コンクリートを打 設するための施工で品質を確保するため、以下の対策 を行うことを検討した。 ①工場へ、セメントは一定期間貯蔵されて温度の下 がったものを使用するよう指示をする。 ②コンクリート打設前に型枠に散水をして、型枠の温 度を下げるとともに湿らせる。 ③コンクリートの打込み時間を短くし、仕上り面には、 急激な水分の蒸発を防ぐために常に散水する。 以上の対策により暑中コンクリートの品質確保を 検討した。 | 11行 | |
(3)上記検討の結果、現場で実施した対応処置とその評価 | ||
上記検討の結果、現場では以下のような対応処置 を行った。 コンクリート打設工事箇所を足場材とシートで囲 い、ヒーターで加熱養生を行った。 また、随時温度測定を行い、初期凍結を防止する ための初期養生温度を5℃、それ以後の養生温度を 1℃以上に保つよう温度管理を実施し、コンクリート 品質を保つ養生を実施した。 上記により、寒冷地で施工したコンクリートの品質 を確保できた。 | 10行 |
下水道工事 寒中コンクリートにおける品質管理
【設問1】あなたが経験した土木工事の内容 | ||
(1)工事名 | 工事名 | 〇〇幹線下水路工事(〇〇処理区) |
(2)工事の内容 | ①発注者名 | 〇〇県〇〇部〇〇課 |
②工事場所 | 〇〇県〇〇市〇〇地内 | |
③工期 | 令和〇年〇月〇日~令和〇年〇月〇日 | |
④主な工種 | 水路工 L型擁壁工 | |
⑤施工量 | 鉄筋コンクリート200m3 | |
(3)工事現場における施工管理上のあたなの立場 | 立場 | 現場責任者 |
【設問2】 | ||
(1)具体的な現場状況と特に留意した技術的課題 | ||
この工事は、〇〇下水道事業(〇〇処理区)にお いて建設される下水道工事である。工事の内容は、 幹線水路Φ1,000mmに伴う現場打ちL型擁壁工事 である。 コンクリート工事は冬季において行われることか ら、寒中コンクリートとしての施工に注意する必要 があり、コンクリートの品質管理を課題とした | 7行 | |
(2)技術的課題を解決するために検討した項目と検討理由及び検討内容 | ||
寒冷地で実施する寒中コンクリートの養生を行う ために、以下の検討を行った。 ①養生方法について技術部と協議し、上屋を設置し て、ヒーターで加熱する加熱養生を計画した。 ②初期凍結を防止するため、5M/mm2の圧縮強度 達するまではコンクリート温度を5℃以上とし、以 2日間は0℃以上を保つよう温度管理を行った。 ③型枠に熱伝導率の小さい木製型枠を使用すること として、保温性を高めた。 以上により、所定のコンクリート品質を確保する計 画を立案した。 | 11行 | |
(3)上記検討の結果、現場で実施した対応処置とその評価 | ||
上記検討の結果、現場では以下のような対応処置 を行った。 コンクリート打設工事箇所を足場材とシートで囲 い、ヒーターで加熱養生を行った。 また、随時温度測定を行い、初期凍結を防止する ための初期養生温度を5℃、それ以後の養生温度を 1℃以上に保つよう温度管理を実施し、コンクリート 品質を保つ養生を実施した。 上記により、寒冷地で施工したコンクリートの品質 を確保できた。 | 10行 |
上水道工事 ダクタイル鋳鉄管接続作業時の品質管理
【設問1】あなたが経験した土木工事の内容 | ||
(1)工事名 | 工事名 | 〇〇号線配水管布設工事 |
(2)工事の内容 | ①発注者名 | 〇〇県〇〇部〇〇課 |
②工事場所 | 〇〇県〇〇市〇〇地内 | |
③工期 | 令和〇年〇月〇日~令和〇年〇月〇日 | |
④主な工種 | ダクタイル鋳鉄管布設工(Φ250) | |
⑤施工量 | ダクタイル鋳鉄管布設工L=780m 仕切弁設置工 10か所 | |
(3)工事現場における施工管理上のあたなの立場 | 立場 | 現場代理人 |
【設問2】 | ||
(1)具体的な現場状況と特に留意した技術的課題 | ||
この工事は、市道〇号線の歩道部に上水道配水管 (ダクタイル鋳鉄管Φ250)を土被り1.2mでL= 780m布設する工事であった。 過去の事例として配管工事ではボルトの締付け 不良による漏水が発生したため、ダクタイル鋳鉄管の 接合作業の品質管理を重点課題とし、漏水防止対策 の品質管理計画立案が技術的な課題となった。 | 7行 | |
(2)技術的課題を解決するために検討した項目と検討理由及び検討内容 | ||
過去に漏水が発生した原因を調査したところ、ボ ルト・ナットの締付けの品質不良によるものがほとん どであることが判明した。そのため、以下の対策を検 討した。 ①継手部の汚れを除去し、保護及び検査手順を確 立して、汚れがついた場合は完全に水洗いして、 土などの汚れを取り除く手順書を作成した。 ②鋳鉄管の接合手順書を検討し、トルクレンチで上 下左右対称に締付け、片締めしないように定めた。 また、締付け後は職長が全箇所確認し、チェッ クシートに記録する手順をまとめた。 | 11行 | |
(3)上記検討の結果、現場で実施した対応処置とその評価 | ||
配水管の締付け作業責任者を選任し、継手の汚れ やボルトの締付け順序およびトルク(100N・m)の 管理はチェックシートを用いて実施した。また、継手 接合完了検査は職長が行い、チェックシートに記録 し、監督員が最終確認を行った。 以上により、ダクタイル鋳鉄管の接合不良を防止 し、配管工事を完了することができた。 過去の事例、データを調査して施工管理手順を改 善し、品質の確保ができたことは評価される点であ る。 | 10行 |
安全管理 3例
下水道工事 道路幅員が狭い場所で行う管布設工の安全確保
【設問1】あなたが経験した土木工事の内容 | ||
(1)工事名 | 工事名 | 〇〇汚水幹線管布設工事 |
(2)工事の内容 | ①発注者名 | 〇〇県〇〇部〇〇課 |
②工事場所 | 〇〇県〇〇市〇〇地内 | |
③工期 | 令和〇年〇月〇日~令和〇年〇月〇日 | |
④主な工種 | 管路工、人孔設置工 | |
⑤施工量 | 管路工Φ500mm、L=185m、 円形組立人孔6箇所 | |
(3)工事現場における施工管理上のあたなの立場 | 立場 | 現場代理人 |
【設問2】 | ||
(1)具体的な現場状況と特に留意した技術的課題 | ||
本工事は、既設道路に汚水管Φ500を布設し、円形 組立人孔を設置するものであった。道路の有効幅員 は3.0~3.5mと狭く、管路を幅1000mmで掘削する と歩行者通路が確保できない状態となる。工事箇所 は生活道路で、歩行者通路の確保が要求された。狭 い道路で行う下水道管布設工事での事故防止の安全 対策を課題とした。 | 7行 | |
(2)技術的課題を解決するために検討した項目と検討理由及び検討内容 | ||
狭い道路で行う下水道布設工事に際し、歩行者に 対する事故を防止するため、以下の検討を行った。 ・事前に工事箇所に隣接する住民に工事内容を知ら せる方法を発注者と検討し、地元説明会を開催する ことにした。また、工事の数日前に具体的な状況 とお願い事項を住民に知らせて、理解を得る方法 の検討を行った。 ・民家の前を掘削する場合に使用する仮橋の検討(設 置の容易さと安全性を考慮した構造)を行った。 ・作業スペースが最小となる掘削機械および運搬機 械の選定を行った。 | 11行 | |
(3)上記検討の結果、現場で実施した対応処置とその評価 | ||
上記検討の結果、下のような対応処置を行った。 地元説明会の資料は、わかりやすい図を写真を使って 作成した。また、動画や3Dのデータを用いてわかり やすいものとした。 掘削箇所を通行するために幅150㎝のアルミ製の 仮橋を制作して、歩行者通路とした。掘削機械は小 旋回のバックホウを使用し、軽ダンプトラックとベル トコンベアを多用した。 以上を実施したことで、苦情もなく安全に工事を完 成させることができ、発注者からも感謝された。 | 10行 |
造成工事 土留工の安全管理
【設問1】あなたが経験した土木工事の内容 | ||
(1)工事名 | 工事名 | 〇〇〇タウン〇〇宅地造成工事 |
(2)工事の内容 | ①発注者名 | 〇〇建設工業株式会社 |
②工事場所 | 〇〇県〇〇市〇〇地内 | |
③工期 | 令和〇年〇月〇日~令和〇年〇月〇日 | |
④主な工種 | 仮設土留工 | |
⑤施工量 | 鋼矢板Ⅲ型、L=8.5m 打設枚数100枚 | |
(3)工事現場における施工管理上のあたなの立場 | 立場 | 現場責任者 |
【設問2】 | ||
(1)具体的な現場状況と特に留意した技術的課題 | ||
この工事は、〇〇建設工業発注による宅地造成に伴 い、防火水槽30m3の設置工事を行うものである。 掘削深さが4.2mと深く、土圧によって土留め矢 板が変形し、掘削作業に危険をもたらし、周辺構造 物に与える影響も大きいと予想された。したがって、 土留め壁の安全確保を確立する点検手法、項目の安全 管理体制を課題とした。 | 7行 | |
(2)技術的課題を解決するために検討した項目と検討理由及び検討内容 | ||
この工事における土留工の安全を確保するために、 以下のような点検手法と点検項目の検討を行った。 ①目視点検として、土留め壁の水平変位を下げ振り で、鉛直変位をトランシットでそれぞれ確認する。 ②支保工のはらみ、変形の確認は、水糸により行う こととする。 ③計器簡観測は、土留め壁の挿入式傾斜計と切ばりに 土圧計を設置することとした。土圧計の値と予測計算 結果を比較して、土留め壁の挙動を把握することによ り、工事の安全管理を行うこととした。 | 11行 | |
(3)上記検討の結果、現場で実施した対応処置とその評価 | ||
土留め壁の安全性を確認するために、現場での安 全管理は以下のように行った。 目視点検は毎日2回、工事の開始時と終了時に行 った。 計器計測は、矢板内の掘削を行っている間は毎日 1回、躯体の鉄筋コンクリート工事の施工中は週1 回実施し、実際に作用する土圧が計画した値以内に あることを確認した。 以上により、土留め壁の安全を確保し、無事故で 工事を完了することができた。 | 10行 |
河川工事 吊り荷の落下やクレーン転倒事故防止対策
【設問1】あなたが経験した土木工事の内容 | ||
(1)工事名 | 工事名 | 〇〇川河川改修工事 |
(2)工事の内容 | ①発注者名 | 〇〇県〇〇部〇〇課 |
②工事場所 | 〇〇県〇〇市〇〇地内 | |
③工期 | 令和〇年〇月〇日~令和〇年〇月〇日 | |
④主な工種 | コンクリートブロック積工 | |
⑤施工量 | コンクリートブロック積み工1,500m2 帯コンクリート工67.5m | |
(3)工事現場における施工管理上のあたなの立場 | 立場 | 現場責任者 |
【設問2】 | ||
(1)具体的な現場状況と特に留意した技術的課題 | ||
本工事は、〇〇川の河川改修工事であり、河川の 両岸に帯コンクリートを設置し、コンクリートブロ ック積みを行うものであった。材料の搬入やコンクリー ト打設は、右岸側道路幅員が狭いため、対岸から移 動式クレーンで小運搬する計画とした。このため、吊 り荷の落下やクレーン転倒事故防止が安全管理の課題 となった。 | 7行 | |
(2)技術的課題を解決するために検討した項目と検討理由及び検討内容 | ||
左岸のコンクリートブロック材料と帯コンクリート 等の生コンクリート材料を右岸の平場からクレーンで 吊り込み、小運搬する計画を検討した。 また、吊り荷の飛来落下や地盤支持力不足でクレー ンが転倒することを防止する目的で、以下の検討を 行った。 ①吊り荷の落下事故を防止するため、作業主任者の 選任、合図人の配置と連絡手順計画を検討した。 ②クレーンのアウトリガーを設置する地盤を調査し、 必要な補強方法の検討を行った。 上記の検討により、安全計画と立案した。 | 11行 | |
(3)上記検討の結果、現場で実施した対応処置とその評価 | ||
検討結果に基づき、以下のことを現場で実施した。 ①玉掛け作業は、有資格者から作業主任者を選任し、 現場を指揮した。合図人は必要な場所に複数配置 し、運転手と作業員との死角を補完し、トランシー バーで作業の連絡を確実に行った。 ②クレーン設置箇所の地盤支持力を平板載荷試験で 調査し、礫質土で置き換え、鉄板(25mm)で補強し、 安全率2を確保した。 以上により、無事故で工事を完了できたことは、 評価できる点であると考える。 | 10行 |
最後に
解答例については、各項目の決まった書き方を覚えましょう。
設問については、自身の現場に置き換えて内容を考えてみましょう。
そして「品質管理」と「安全管理」は書けるようにしていきましょう。
例文を読み進めて自身の現場として勘案し、解答が決まり、それを何回か書いているうちに問題なく試験で対応できるようになると思います。
工事現場は1本ものですので、まだまだいろいろな課題や対処法などがあると思います。
自身の現場を思い出して、設問と照らし合わせれば、おのずと答えが見えてくると考えます。
皆さまの合格をお祈りしています。
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