これまで現場代理人として東京都 公共工事の現場を9件竣工してきました。
様々な役所の担当者と渡り歩いてきましたが、現場の状況も踏まえお話しをしたいと思います。
これから東京都の公共工事の現場代理人をする方のお役に立てば幸いです。
都道の道路工事その①
結構な難工事で最初の役所挨拶では滅多に現れない「工事課長」が平身低頭で「取ってくれてありがとうございます」と言われるような現場でした。ひぇ~。
役所の担当というのは年度替わりで「変わる」ことが度々あります。業者との癒着を防ぐ目的です。
昔は昼飯をおごる、お金を渡す、旅行やゴルフに連れていく・・・などなど、結構あったようです。見返りに工期やお金を優遇してもらうとか、入札情報のリークなどがあったのでしょう。今は缶コーヒー1本も禁止です。
役所担当の異動は3年くらいで自動的なものもあれば、他の局などに異動を希望できたり、今どきは合わなくて心の病で異動があったり、エリートコースは本庁へ、などもあるようです。
この現場も年度替わりで交代でした。
最初はもうすぐ定年の太った気の優しい担当者でした。鼻毛ボーボーでしたね。自分も初の建設局でいろいろ聞きながらでしたけど、嫌な顔せずに相談に乗って頂き、指示して頂きました。
経験値が高いので、通常は時間をかける現場の変更対応も即決で、経験不足な私としては非常に助かった思い出があります。
年度が替わって水道局から異動してきた30くらいの方が担当になりました。
よくあるのですが、建設局の生え抜きではないから、施工を理解していないので「いろいろ質問攻めに合う」という事です。そういう事は今まで非常に多いです。
いじめもある程度あるのでしょうが、回りの先輩に聞きづらい?聞けない性格?なのでしょう。
またよくあることで、良くわかっていないからマニュアル通りの細かいチェックや訳の分からない指示になりがちなところで、質問攻めと合わせてストレスが半端ない時に・・・
夜勤明けの10時くらいに電話してきて「まだ寝てるんですか?」と言われたので、ブチ切れた事が思い出です(笑)。
付き合ううちに良い方であることがわかり、最終的には良くしてもらいました。
また、今回大きな経験になったのは警視庁相手の道路協議(道路使用)でした。
当初は所轄に行ったのですが、大規模な信号機移設があるので警視庁でと言われました。
警視庁の担当者は非常に忙しく、予約を取るのに1か月待ちはザラの状況でした。
やっとの事で建設局の担当者、課長代理、信号機業者とともに警視庁にいきました。はっきりいって緊張です。
これまで道路使用といえばエクセルで作成していたのですが、警視庁的には話しにならないレベルとの事で、「作り直し!」となりました(泣)。
また、交通量調査も必要との事でした。
信号機業者は警視庁指定業者(維持管理)だったので、かなり馴染みで慣れた感じでした。だからか信号機の協議については非常にスムーズに進んだ感じです。
建設局から道路使用の書類屋がCADで作った規制帯図の見本を貸してもらい、2週間くらい現場終わりに深夜まで残業して完成させました。
こんな本格的な道路使用があるのを初めて知り、非常に勉強になりました。
そして1か月後に再提出して、なんとか通過。
更に現場調査があるとの事で、規制帯図も見比べていろいろチェックが入りました。
都道の道路工事その②
建設局が2現場連続となりました。
工区が担当となり、担当者は中途採用で入った30そこそこの方でした。
建設局は第一から第六まで6つに分かれていますが、それぞれの中で2つくらいに分かれているエリアを「〇〇工区」といいます。
第一から第六の事務所を「本局」と呼んでおり、そこにも担当者がいます。
工区の担当者が、本局の担当者にいちいち「お伺い」を立てる感じです。
工区の担当者は中途ではありますが、頭が「切れる」タイプの方で、書類の処理も、仕事の話しも比較的早くてスムーズに仕事ができたように思います。
都心の工事なので、やはり問題が数々あり、それらを対処するのに非常に時間がかかりました。
あまり表面には見せませんが、時折「こちらの方が上だ」オーラを放っていました。
私も最終的な変更増額を獲得するには相手を「立てて」なんぼなので、そのように対応していました。
工区の中途採用者なので、本局の生え抜きの担当者たちにかなり気を使っている感じでしたが、コミュニケーションがかなりうまく上手に対応していると感じました。
ここも年度替わりで担当者が代わりました。
本局から工区に異動してきた、こちらも中途採用でわりかし自分と年の近い方でした。
前の担当者に「仕事のできないヤツがくる」と言われ心配していたのですが、実際はそれ程大変ではありませんでした。
その方は民間の建築材料メーカーから土木系技術職で東京都職員になったようでした。
畑違いでかなり大変なようでしたが、最終的にはかなり良くしてもらいました。
中途で民間上がりの方は、東京都の生え抜きの方より我々の気持ちを汲んでくれる(良くしてくれる)ように思います。
工区の担当者は本局の時に結構大変な思いをしていたようです。通常は本局の担当者であっても我々受注者の味方であるのですが、そうではない言動を感じることがありました。
たぶんその人がちょっとおかしな感じの人だったのかもしれません。工区の担当者はその本局の人を、かなり恨んでいるようなことを聞いた覚えがあります。怖いですね!
都心の水道工事
1億円台程度の案件では入札の不調が多い事から、配水小管の水道工事は2~3億にまとめる傾向があります。
そのため、エリアが離れている案件が多いことが見受けられます。
とくかく水道工事はやることが煩雑なので、土木業界に入っていきなり水道工事をやると面食らうと思います。
(水道工事の仕事については備忘録としてkindle本「東京水道|副読本」で出版しています)
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案件は水道局直のものと、第三セクターである「東京水道(株)(旧東京水道サービス)」のものがあります。
旧東京水道サービスの時は略して「TS(ティーエス)」、現在は東京水道(TokyoWater)を略して「TW(ティーダブ)」と呼ばれています。
東京水道サービス設立当初はとにかく水道局に足蹴にされていたようで、権限もなく、ある意味イジメられていたように思います。
東京水道の各エリアの所長は水道局の天下りであることからか、近年は権限もある程度任されているようです。
それにしても、東京水道の案件は、建設局の工区と同じく、水道局の許可を得なければならない事から、書類のやり取りも時間がかかります。
水道局から結構細かいことを言われて、面倒なことが多い印象です。
その点、水道局の直案件は、それほどうるさい事もないように感じます(人によるところはあります)。
東京水道の担当者は土木監督からの中途採用が多いことから、水道局にイジメられながらも、業者よりの方が多いです。
水道局の担当者も良い方が多いですが、結構、細かい方も多く、例によって「お上」感覚の失礼な方も少なからずいるように思います。
どこにもいるので、そこは辺は仕方がないと割り切るしかなないですね。
水道局直案件では、書類担当(主・決済)と現場担当(副)の方がいて、現場担当の方はしょっちゅう現場を見に来ます。
それほどうるさいことは言われませんし、目をつぶってくれる事も多い気がします。
感覚としては書類担当は東京都職員の生え抜きで、現場担当は中途なイメージがあります(あくまでイメージです)。
なので現場担当者は業者寄りというか、現場の大変さがわかるから寛大なのかもしれません。
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