装着することで重量物の上げ下げによる身体負担を軽減するパワーアシストスーツ(PAS)。
物流、農作業、介護の分野ではすでに普及が始まっている。
国交省は2020年に「建設施工におけるパワーアシストスーツ導入に関するワーキンググループ」を立ち上げ、その後、現場検証報告が行われた。
今回は我々建設業界を救うことになるかもしれない「PAS」を記事にしました。
様々な企業がパワーアシストスーツを制作・販売しています。身近なところではワークマンでも販売されており、記事では性能、問題点、価格などを紹介しています。
パワーアシストスーツ(PAS)の種類
パワーアシストスーツ現場検証事例集 国土交通省
パワーアシストスーツ(PAS)とはゴム、バネなどの素材の伸縮力や電動モーターなどにより、身体を用いた作業の負担を軽減する装着型機器である。
パッシブスーツ・・・ゴム、バネなど素材の伸縮や空気圧で助力を得るPAS
アクティブスーツ・・・電動モーターなどで助力を得るPAS
身体フィット型・・・着衣にちかい形状でかさばりが少なく装着可能なもの
外骨格型・・・・堅いフレーム等を配置し、腰、腿などに助力を行う構造のもの
パワーアシストスーツ導入の背景
パワーアシストスーツ現場検証事例集 国土交通省
国交省が発表している「建設業および建設工事従事者の現状」の労働者分布を見ると、55歳以上が約34%、29歳以下11%というデータが出ています。年々若手人材が少なくなることにより高齢化が進んでいるのが現状です。
建設業の作業工程において重量物の持上げ、運搬、中腰しゃがみ継続等の身体的な負荷が高い人力作業が多くあります。
高齢者の負担軽減や就業継続期間延長、新規入職者の減少原因の一因となっている作業の改善へ向け、PASの導入が強く検討されています。
現場作業におけるPASの適用性
腰支援を中心としたPASは、掘削や重量物の運搬前後における持上げ下げ、中腰を維持しての作業における効果が期待されます。
身体フィット型、外骨格型が以下の作業に対応可能となっています。
・人力土工(掘削・運搬)
連続掘削
中腰を維持しての作業
重量物の持上・下げ(据付)等
ただし、高所作業、狭隘下の作業、機敏な動きを伴う作業は今後の課題となっています。
PAS導入による効果の事例
パワーアシストスーツ現場検証事例集 国土交通省
現場作業員が装着型のPASを用いることで
「作業負担の軽減」、「安定的な作業継続」と「作業の安全性向上」、「生産性の向上」が期待されます。
「作業負担の軽減」による心拍上昇の穏やかな増加、身体負担の軽減による「安定的な作業継続」、身体疲労の低下が作業時間の増加につながる「生産性の向上」など、PASの導入効果が検証から把握されています。
現状PASで効果が期待される施工工種
パワーアシストスーツ現場検証事例集 国土交通省
多様な建設現場の人力作業のうち、重量物を扱い身体負担が大きい作業(掘削、持上げ下げ、据付、中腰維持継続など)や軽量物の扱いでも長時間の反復作業において適用可能性が高いと考えられます。
人力作業が多く、緊急性の面からも年代を問わず身体負担が高い作業を強いられることが多い災害現場における対応のうち「土のう作成」や「排水ポンプ設営」も適用可能性が高いと考えられます。
現場検証を行ったPAS
パワーアシストスーツ現場検証事例集 国土交通省
国土交通省の現場検証に使用したPASは上記一覧になります。
PASSの概要と価格を紹介します。
パワーアシストスーツ現場検証事例集 国土交通省
PASの検証実験
PASの検証実験をご紹介します。
〇鉄筋組工
パワーアシストスーツ現場検証事例集 国土交通省
〇ブロック敷設工(縁石)
パワーアシストスーツ現場検証事例集 国土交通省
〇コンクリート打設工
パワーアシストスーツ現場検証事例集 国土交通省
〇他の工種
パワーアシストスーツ現場検証事例集 国土交通省
まとめ
少子高齢化は全産業に影響するものであり、建設業界だけの話ではありません。
しかしながら建設業界の就労人口は他の産業より厳しいと言わざるをえません。
PASが根本的な解決になるとは思いませんが、少なくとも高齢者の助けになり、建設業界のイメージアップにつながる事での就労人口の増加に寄与できればと思います。
ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます。